【解説】杜若文(かきつばたもん)とは?日本伝統文様にある杜若(かきつばた)を徹底解剖!

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杜若文 – かきつばたもん –

アヤメ属の植物の中では、最も古くから栽培されてきた杜若(かきつばた)は日本最古の和歌集である万葉集や900年代の書物、伊勢物語にも和歌で詠われ、その魅力は昔も今も人々に愛され続けています。
その美しさから、俳句の季語や家紋、芸術品にも用いられています。特に江戸時代には園芸品種が多く作られ、尾形光琳が描いた「燕子花図屏風(かきつばたずびょうぶ)」や「八橋図屏風(やつはしずびょうぶ)」では、杜若(かきつばた)が印象的に凛々しく描かれ、国宝となっています。

そんな古から人々を魅了してきた魅惑的な杜若文(かきつばたもん)をご紹介致します!

 

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杜若(かきつばた)とは?

kakitsubata-image杜若(かきつばた)の名前の由来は、諸説あるみたいです。
1つ目は、古来花の汁を使って布を染めたことから「書き付け花」と呼ばれ、それが転じて「かきつばた」になったといわれています。
2つ目は、漢字で表記すると「垣つ端(かきつはた)」となり、濁点がない読み方になります。この由来は、垣根の周辺に咲いていることが多いからのようです。

杜若(かきつばた)は、その花姿が燕(つばめ)に似ているから「燕子花」とも漢字で書くそうです。
また杜若(かきつばた)は、万葉集には「垣津幡」や「加古都幡多」などとも表記していたようです。
因みに、メインの漢字表記の「杜若」は、本来はヤブミョウガという別種の漢名(「とじゃく」と読むらしい)ですが、カキツバタと混同された為「杜若」は、現在の杜若(かきつばた)に日本では定着した様です。。。

yabumyouga-image日本漢字表記を乗っ取られたヤブミョウガ

そんな杜若(かきつばた)は古来より日本にある植物で、江戸時代前半から観賞用に多くの品種が改良された古典園芸植物です。

杜若(かきつばた)はアヤメ科の多年草で、開花時期は夏の気配がしてくる初夏の5月~6月頃に、浅い水辺から50cm~70cmの丈を伸ばし、紫がかった深みのある鮮やかな青色の花を咲かせます。因みに、花の中央あたりに白い筋が入っています。
日本以外にも中国や朝鮮半島、シベリア東部にも分布します。葉の形は細長く、葉脈があまり目立たないことも特徴です。

杜若(かきつばた)の魅力

杜若(かきつばた)と慣用句:「いずれアヤメかカキツバタ」

時代を問わず芸術家の目をひき、人々の心を奪うほど美しい杜若(かきつばた)は、「いずれアヤメかカキツバタ」の慣用句があります。この言葉は、どちらも美しくて優劣がつけがたいという意味です。
この言葉の様に、江戸時代中期に入ると菖蒲(あやめ)の品種改良が進み菖蒲(あやめ)の人気が出て、よく似た花の形をしている事から、この2つの植物は比べられるようになり「いずれアヤメかカキツバタ」の様なことわざが生まれたのでしょうね。

因みに、アヤメは漢字で「菖蒲、文目、綾目」、ショウブは漢字で「菖蒲」と書き同じかと思えば実は違う花なのです。
その上で、菖蒲(あやめ)と菖蒲(しょうぶ)と杜若(かきつばた)の違いをご紹介いたします^^

【違いその①花びらの付け根の模様】
☑菖蒲(あやめ)👉網目状
菖蒲(あやめ)
☑菖蒲(しょうぶ)👉黄色
菖蒲(しょうぶ)
☑杜若(かきつばた)👉白い筋
杜若(かきつばた)【違いその②生息場所】
☑菖蒲(あやめ)👉陸地
☑菖蒲(しょうぶ)👉水の中
☑杜若(かきつばた)👉水辺
なんと。。。こんな違いがありました!!
私もビックリです!!

 

杜若(かきつばた)と花言葉

「幸運が訪れる」

杜若(かきつばた)の花言葉ですが、「燕子花」の由来燕(つばめ)は、幸せを運んできてくれる縁起のよい鳥ということから「幸運が訪れる」という花言葉が生まれました様です。

「高貴」

杜若(かきつばた)の花言葉には、「高貴」もあります。濃い紫色の花姿と、すらっと伸びた茎は品の良い言葉がよく似合いますね。杜若(かきつばた)は、最古の和歌集『万葉集』にも登場するほど、昔から日本人に親しまれてきた植物です。かつて紫色は、高貴な身分の人のみが身に付けられる特別な色でした。このことから杜若(かきつばた)にも「高貴」という花言葉がつけられたとされています。

「思慕」

杜若(かきつばた)の花言葉には、「思慕」もあります。しかし、この花言葉になった由来は諸説あるようです。
一つは杜若(かきつばた)が水辺にたたずむ可憐な女性が片思いの人を恋しく思っている様子に似ているという説です。
もう一つは在原業平が詠んだ歌にちなむという説です。
「唐衣 きつつなれにし つまあればはるばるきぬる たびをしぞおもふ」
現代語訳では、「(すっかり身になじんだ) 唐衣のように、(長年なれ親しんだ) 妻が(都に)いるので、(妻を残したまま) 来てしまった長い旅路(のわびしさ)を、しみじみと思う」という内容です。
この歌の都にいる妻を思う気持ちとして「思慕」が杜若(かきつばた)の花言葉になったと言われています。
👆後程、再度説明が入りまする。。。

また、英語では「杜若」を含むアヤメ科の植物が「アイリス」と呼ばれ、「メッセージ」「希望」「信頼」という花言葉がつけられています。ちなみにイエローアイリスには「復讐」という怖い花言葉が名付けられていますが、日本の杜若(かきつばた)には、そのようなものはないようです。

杜若(かきつばた)と日本の伝統色

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杜若色/江戸紫

「杜若色(かきつばたいろ)」は、杜若(かきつばた)の花のような鮮やかな紫がかった青色を指します。平安時代に生まれた、衣服の表地と裏地の配色方法を「襲の色目(かさねいろめ)」といい、四季の色合いが表現され、十二単などの公家衣装に取り入れられました。
「杜若色(かきつばたいろ)」は、そんな襲の色目のひとつとされ、表は二藍(ふたあい)、裏は萌葱(もえぎ)色です。
初夏の爽やかな時期に纏うのにぴったりの色合いですね。

紫草-Lithospermum erythrorhizon

杜若(かきつばた)の花のような紫の色は、古来、高貴な色として尊ばれてきました。
その杜若色(かきつばたいろ)を表現するのに、中国や日本では紫草(むらさき)の根を用いるみたいです。
紫草(むらさき)は、絶滅危惧種に指定されており、杜若(かきつばた)と同じ頃に白くとても小さく可憐な花をつけます。
土の中に伸びているその花の根に美しく気高い紫色の色素が含まれているみたいです。
その色素を使用して、杜若色(かきつばたいろ)を表現するのです。

因みに、江戸時代には「江戸紫」の名で親しまれていたようです。

杜若(かきつばた)と愛知県

愛知県の県花、愛知県知多市と愛知県刈谷市の市の花にも指定されています。

 

杜若(かきつばた)と在原業平と尾形光琳

杜若(かきつばた)は日本最古の和歌集である万葉集や900年代の書物、伊勢物語にも和歌で詠われ、俳句の季語や家紋にも用いられています。

その中でもっとも有名な杜若(かきつばた)の和歌があります。

京の都から三河の国八つ橋(愛知県知多市八橋)を旅した佐原業平(ありわら の なりひら)が詠んだ和歌です。

らころも
つつなれにし
ましあれば
るばる来ぬる
び(旅)をしぞ思ふ
在原業平(ありわら の なりひら)
伊勢物語 第九段
古今和歌集 巻第九 410
現代語訳「京の都には、慣れ親しんだ妻がいるので、はるばるとやって来た旅が、悲しく思える」

三河の国八つ橋(愛知県知多市八橋)は杜若(かきつばた)の名所で、凛と杜若(かきつばた)が咲き誇るのを見て「か・き・つ・は・た」の文字をそれぞれ句の頭に付け、都に残した妻を偲んで歌を詠んだのがこちらの和歌です。

この和歌は「折句(おりく)」という技法が使われた事で有名で、古今和歌集と伊勢物語に収録されています。

参考:instagram@kumasaku

この佐原業平(ありわら の なりひら)の杜若(かきつばた)を詠んだ和歌を収録している伊勢物語は、多くの人たちを魅了してきました。
あの日本の代表的な古典芸能、伝統芸能の1つ「能(のう)」でも演目の題材に使用される程です。
佐原業平(ありわら の なりひら)によって歌に詠まれた杜若(かきつばた)の精が、美しい女性の姿で現れる『杜若(かきつばた)』という能の名曲が作られています。

また、この伊勢物語の佐原業平(ありわら の なりひら)の杜若(かきつばた)の和歌は芸術、アートの世界でも影響を与えています。
江戸時代の画家、京琳派の尾形光琳(おがた こうりん)や江戸琳派の酒井抱一(さかい ほういつ)はそれぞれ「燕子花図屏風(かきつばたずびょうぶ)」「八ッ橋図屏風(やつはしずびょうぶ)」など杜若(かきつばた)が咲き乱れる八橋の情景を絵に描いています。
特に、尾形光琳(おがた こうりん)が描いた屏風絵で金箔六曲屏風「燕子花」と「八つ橋」が名高く、深い青色が印象的に描かれた杜若(かきつばた)は世界最高峰の作品となり、今や国宝にもなっています。

更に、それらをモチーフにして、蒔絵(まきえ)などの伝統工芸品も作られました。

佐原業平(ありわら の なりひら)の杜若(かきつばた)を詠んだ和歌の美しさは、日本人の心を鷲掴みにし多くの人を惹きつけたのでしょう。



杜若文(かきつばたもん)について

杜若(かきつばた)は、アヤメ科の花で平安時代から好まれ絵画や詩歌、工芸品に取り入れられてきて能の衣装「能装束(のうしょうぞく)」にもデザインされています。
他の草花とともに四季の花の一つとしても使用され、紅型染や風景模様にもみられる文様です。

優雅で美しい杜若(かきつばた)は、王朝時代にはすでに衣服や輿の装飾文様として使用され、奈良・平安時代の公家(貴族)に特に愛用されていたようです。
しかし、武家の家紋としての使用されず、用いるのは公家に限られたようです。

主な使用家は花山院流(かざんいんりゅう)の中山家(なかやまけ)、野宮家(ののみやけ)、今城家(いまきけ)、及び花山院ゆかりの寺院で、徳川時代には平氏維将流(へいしこれまさりゅう)の高力氏(こうりきし/こうりきうじ)、清和源氏頼親流(せいわげんじよりちかりゅう)の幸田氏、藤原氏支流(ふじわらししりゅう/ふじわらうじしりゅう)の小浜氏が用いたそうです。

いくつか代表的な杜若文(かきつばたもん)をご紹介します。

立ち杜若(たちかきつばた)

立ち杜若(たちかきつばた)家紋:立ち杜若(たちかきつばた)
参考:家紋のいろは

花と共に細長い葉をあしらった立ち杜若(たちかきつばた)。

杜若の花(かきつばたのはな)

杜若の花(かきつばたのはな)

家紋:杜若の花(かきつばたのはな)
参考:家紋のいろは

杜若(かきつばた)の美しい花を単独で表現した杜若の花(かきつばたのはな)。

丸に向う杜若の花(まるにむこうかきつばたのはな)

丸に向う杜若の花(まるにむこうかきつばたのはな)

家紋:丸に向う杜若の花(まるにむこうかきつばたのはな)
参考:家紋のいろは

杜若(かきつばた)の花と葉を配置し円で囲ったでの丸に向う杜若の花(まるにむこうかきつばたのはな)。

杜若の丸(かきつばたのまる)

杜若の丸(かきつばたのまる)

家紋:杜若の丸(かきつばたのまる)
参考:家紋のいろは

杜若(かきつばた)を華やかに丸くデザインした杜若の丸(かきつばたのまる)。



杜若文(かきつばたもん)が使用されたデザイン

 

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※2023/1/27(土)更新※



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